バレル研磨、複数の素材をテスト
フィギュアスケートブレード開発研究会
 新潟県燕市の燕市フィギュアスケートブレード開発研究会(徳吉淳会長・(有)徳吉工業社長)は、1月24日午後1時30分から、燕市大関、(有)船山理研工業所の工場内で、バレル研磨加工が施された試作品の部品の見学会が行われ、関係者が駆け付けた。

 燕市の地場産業である金属加工の技術を生かして、既存のフィギュアスケート用ブレードより高品質なものを開発、将来的なオリンピック選手の採用を目指すとともに、燕市の新たな産業として確立し、市内産業のPRを図ろうと、今回、オブザーバーとしても参加している県立三条テクノスクール指導員でもある県スケート連盟の伝井達(つたい・いたる)理事長が鈴木力燕市長に提案したことで発足。同研究会は、市内企業八社に加えて、オブザーバーとして、燕三条地場産センター、県工業総合研究所県央技術支援センター、県立三条テクノスクール、県スケート連盟が参加している。また、素材調達などの一部の工程については会員外の協力企業も参加している。

 
 
 昨年8月の第1回会合から活動がスタートしており、今年度は製造ノウハウの構築や基礎研究を目的に、大手メーカーのモデルをコピーし、実際に使える段階まで試作して、試走まで行うことを目標にしている。

 今年度の試作品は、まったくノウハウのない中での手探りでのチャレンジということもあり、「大手メーカーのモデルをコピーすること」を第一とした上で、ステンレス系を中心に4種類の材料を使い、サイズを2種類、さらにジャンプやスピンに使うギザギザのトゥの歯の枚数で3種類のパターンをそれぞれ用意した。材料にしては、市場を寡占する大手メーカーが、鉄系の素材をメッキしたものを使っているが、同研究会ではより強度が高く高品質なステンレス系素材を使い、地場産業の研磨を使った仕上げを目指している。

 また、シューズとの取り付け金具についても、ステンレス素材を使い、大手メーカーのものより固定ポイントが多く、滑走時により剛性の高い仕様のパターンも試作している。

 こうした材料の仕様変更については伝井理事長の意向もあり、あらかじめ強度や剛性に余裕を持たせておくことで、将来的にハイエンドモデルなどで特に重視される軽量化なども見越している。

 今回は、燕市吉田下中野、(株)柳田製作所でレーザー切削された部品を船山理研工業所でバレル研磨した。見学会には市担当者に加え、伝井理事長と、穴あけ加工などに参加している燕市沢渡、(有)エーワン・プリスの遠藤慎二社長が駆けつけた。

 伝井理事長は、「こんなふうになるんですね」と感心した様子で、「毎回、想像以上のものが出てきて驚きます。燕の職人さんたちはすごいなと思います」と驚いていた。

 また、今回、バレル研磨に取り組んだ船山理研工業所特殊研磨部統括責任者の大岩一弘常務は、「初めての材料ばかりでした。特に刃物材は経験がありませんでした。思ったより硬いイメージがありましたね。なかなか光沢が思ったようにならなくて難しかったです」としたほか、フィギュアスケートのブレードそのものに触れるのも初めてということで、「家族でスケートに行きました。それにネットや本で調べてスケートの『ス』の字くらいは知ってから取り掛かりたかったんですけど、なかなか大変でした」と話しながらも、伝井理事長らに実際のバレル研磨の仕上がりや、各材料の加工の手応えなどを説明。今後の工程となる溶接や仕上げなどを行うにあたり、実際に作業をしたときに気づいたことなどを報告していた。

 エーワン・プリスの遠藤社長は、「3月にまでに滑っていただくことが目標」とし、選手によるモニタリングをもとに材料や設計など細かに見直していくこともあるとし、「やはりステンレスより鉄系の方がいいよ、というのであれば、それも対応していきたい。燕はさまざまな金属を扱えるので、その部分はあまり心配していないですね」と話していた。

 なお、今後はバフ研磨、焼き入れ、溶接などの工程を経て、3月のトライアル実施を目指していく。
                                                (細山)

 2018年01月25日本紙掲載
燕市