「つなぐ・つながる」キーワードに
中小企業経営フォーラム2018in燕
 新潟県中小企業家同友会は、11月6日午後1時から、新潟県燕三条地場産業振興センターで「中小企業経営フォーラム2018in燕」を開催した。

 毎年、県内持ち回りで開催している同会のイベントで、午後1時から4つの分科会を行ったあと、午後4時20分からリサーチコアを会場に全体会と基調講演を開催。「共につなぐ。未来へつながる。」をテーマに県内中心に多くの中小企業経営者が参加した。

 全体会では同会の吉川芳邦代表理事が開会あいさつ。昨今の中小企業を取り巻く景況について「ここにきて米中の摩擦など状況に変化が見られ先行きも見通しがつかず、国内においては人口減少が問題になってきた」と厳しい状況にあることを触れ、経営環境の改善や人材育成など同会としてすべきことを挙げ、「我々の中小企業は地域の雇用の7割を支えている。我々が暮らしを支えているんだ、という使命感を持っていただきたい」と参加者を激励した。

 また、来賓を代表して鈴木力燕市長があいさつ。燕三条地域では、9月と10月に工場の祭典を皮切りに、トレードショウやものづくりメッセなど中小企業が主役の企画を次々と成功させたことを紹介。また、市内がロケ地となった人気テレビドラマ「下町ロケット」にも触れ「そもそものテーマが、中小企業が技術を生かし従業員や取引先を大切にして、仲間と連携して生き残っていくもの。このフォーラムのテーマに掲げるものと同じ。そのロケが行われた燕市で開かれるということは、非常に意義あることだと思う」とした。

 基調講演では、埼玉県中小企業家同友会の代表理事でメガネ販売などチェーン展開している潟<Kネマーケット社長の久賀きよ江さん。

 久賀さんは創業から同友会との関わり、同社の現状と今後などについて、プロジェクターを使って語った。

 1991年に起業した久賀さんは、「決して、すごく成功しているわけではない、すばらしい会社であるというわけでもない。ことしで27年だが今は非常に厳しい経営環境を迎えている」とし、補聴器の販売や子どもに特化した「こども眼鏡館」など果敢に新しい事業を展開している現在の同社について説明。

 久賀さんは「もともとサラリーマンをしていました。40歳のときに周りを見回して、『私はこの会社でずっと定年までやりたい仕事があるのか』と疑問に感じたのが辞めるきっかけになりました」とし、新卒で入った百貨店を中心にテナントと展開するメガネ販売チェーンで、売り場から店舗開発やバイヤーを経験、続いてディスカウント系のメガネ店でも売り場や本部勤務を経験。それから、前職のスタッフたちに背中を押される形で起業にチャレンジしたことを語った。「バブル崩壊後の創業でした。しかし、ノウハウはありました。なかったのはお金。どうせやるんだったらチェーン展開をしていきたかった。それなら坪数で40から50坪はあった方がいい。それに前の会社が埼玉で展開していたこともあり、千葉方面に出していこうと思った。すると1店舗で4000万円が必要だった」とし、自宅マンションを担保に2000万円の融資を受けて、手持ちの資金と合わせて店舗を立ち上げた。「デパートで売っている高級ブランドを少し安い値段で路面で売るのがコンセプトでした。そのときに、前の会社からスタッフは4人。損益分岐点が(月の売り上げが)650万円。そこで1800万円売れました。そのコンセプトがあったから。最初の会社と違い、百貨店ではないのでマージンはなく2割、3割引いても売ることができたんです」と久賀さん。

 それから順調に1年半で2店舗目を開店、7年で4店舗まで成長させた。しかし、そこからは伸び悩むこととなった。「素人経営でした。当時の小売業は、業種の中で仕事を転々とするような流れ者的なスタッフが多かった」とし、従業員のトラブルなどに苦しめられた。「そこで経営を学びたかったんですが、なんとか法人会やなんとかクラブなどあらゆるところに入っても経営の基本は教えてくれなかった。同友会も最初はよく分からなかった」と話す久賀さんだが、それから同友会で「経営理念」の重要性を理解し、「どんな経営がしたいかを語れる経営者」になるために、同友会で学び始めた。

 その中で人材の考え方について、早くに辞めていく新卒社員を目の当たりにしながら「どうやったら育てられるんだろう、どうやったらこの子たちは夢を持てるんだろう、と考えていましたが、そこが失敗でした」とし、教えるのではなく、「このお客様に何ができるんだろう」と考え、先輩から学んでいくスタイルを定着させていくことで改善。メガネ業界を変えた低価格競争に対して、補聴器の販売やこども眼鏡館の展開など、新しい切り口でビジネスを拡大させ、対応。その中で、「自分たちの仕事にこんなに価値があるんだ、と感じた時に『だったら、こんな風にしたらどうか』とどんどん変えていく。人が人を育てるのではなく環境が人を育てるんです」とした。

 また、企業の成長についても、バブル等の好景気の時期とは違うアプローチが必要だと言い、「経済成長の時期にはどんどん規模や売上を上げていこうとする。しかし、今は成熟してきました。規模を大きくしても経営はなかなか安定しません。こういうときは、人と少しずつ違うことをやる。少しずつ気配りする。規模を追いかけるだけではいけない。そのために重要なのは、やはり人材になると思う」と語った。           (細山)



 2018年11月08日本紙掲載
基調講演はメガネマーケット久賀社長