基本中の基本に、金属加工の奥深さ
三条工業会、伝統的鍛冶技術継承事業及び管理基礎講座
 新潟県県央地域の金属加工産業の現場で使われている鉄鋼材料や、「焼入れ」、「焼戻し」など熱処理の基礎を学ぶ講座がこのほど、三条商工会議所で開かれ、伝統的鍛冶技術継承事業の受講生をはじめ製造現場で働く人たち52人が参加。現場では当たり前のように使われている言葉も多いが、ベテランでも「何度聞いても興味深い」と言う奥深さで、経営者や管理職の参加者もいた。

  三条工業会(齋藤一成理事長)の伝統的鍛冶技術継承事業及び管理基礎講座で、新潟県工業技術総合研究所中越技術支援センターの専門研究員、斎藤雄治さんを講師に、定員を上回る申し込みがあった。

 同工業会技術環境対策委員会の五十嵐孫六委員長は「鉄鋼や金属類を扱う中で避けて通れない分野。きょう聞いて分からなくとも、講師とのつながりを得て、新潟県工業技術研究所などの支援機関を大いに使ってもらいたい。今後も、いつでも話をお聞きできるような場を提供していきたい」と、基礎を学ぶだけでなく公的支援機関を積極的に利用するよう呼び掛けていた。

 講師の斎藤さんは、鉄鋼材料に含まれる鉄以外の五元素とその特性について「材料のシートにも必ず書かれているもので、炭素・C、ケイ素・Siは強さや硬さの源で、マンガン・Mnは粘り強さを高める。リン・Pは低温で、硫黄・Sは高温で材料をもろくするため、一般的にはあまり良くないが、機械加工をしやすくするためにあえて入っているケースもある」などと説明。

 普通鋼については「一定の強度が保証される」、「特殊鋼(合金鋼、工具鋼、特殊用途鋼、鋳鋼品、鍛鋼品)は一定の成分が保証される」として、鋳鉄品と合わせて使用される用途を示しながら概要を示し、硬さや粘り強さを表わすじん性、熱処理や溶接との相性など、元素や含有量や割合によって特性を把握できるとした。

 鋼を硬くする焼入れ、じん性を向上させる焼戻し、結晶粒を細かく均質にする焼ならし(焼準)、圧延、鋳造、鍛造などの内部応力(ひずみ)を除去する焼なまし(焼鈍)の熱処理についても、「焼入れは、おおむね炭素量0・3%以上の鋼材に対して行う」、「もろく、使いにくくなるため、炭素鋼は350度前後で焼き戻しをしない」、「焼きならしは、空冷で焼きの入る鋼材には使えない」などと実例を交えてポイントを示した。

 炉に入れ内部まで加熱してから焼き入れする「ズブ焼入れ」、表面に炭素を浸透させる「浸炭焼入れ」、高周波で加熱した後に急激に冷やす「高周波焼入れ」についても、「内部まで焼きが入れば引っ張りや圧縮に強い」、「炭素量0・3〜0・45%の鋼に適し、表面はズブ焼入れより硬い」、「表面は炭素量が多いにために刃物並みに硬くなるが、内部は炭素量が少ないため焼きが入らず軟らかい」とそれぞれの特性、焼き割れしやすい形状や適合する材料など熱処理上の注意も加えた。

 ステンレス鋼については、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系で材料の特性、腐食や割れなどの出やすさ、溶接、プレス、切削と加工時の注意点も実例を交えて解説していた。

 「鉄鋼のうち炭素鋼、合金鋼は『S』、鋳鉄は『FC』、アルミニウム合金は『A』、銅合金は『C』と材料記号の頭文字でも大まかに分かる。鉄鋼材料では1文字目、2文字目でも規則性があり特性が把握できる。材料記号については、日本工業標準調査会のホームページhttp://www.jisc.go.jpで無料閲覧できる」などと、翌日から役立つ情報や知識を紹介して講座を締めくくった。                              (外山)



 2018年11月09日本紙掲載