この時期不安な脳卒中、「関心がない人が問題」
在宅医療もテーマに 三条医師会、市民公開講座
 三条市医師会、潟oイタルネット、武田薬品工業鰍ヘ、12月16日午後1時から、新潟県三条市中央公民館で市民公開講座「住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるために」を開催した。

 市民の関心が高い脳卒中、地域医療の今後のキーワードとなる在宅医療・介護を柱にした公開講座で、第1部では三之町病院の森宏病院長が「脳卒中発症予防と高血圧治療の重要性について」をテーマに、第2部では、三条市在宅医療推進センター長でもある郷秀人済生会三条病院院長を座長に、坪井内科医院の坪井康紀院長が「終の棲家(ついのすみか)をどこにする?〜在宅医療でできること〜」をテーマに講演。さらに在宅医療の現状についてパネルディスカッションを行い、三条市内の有識者がそれぞれの立場で見解を述べた。

 また、会場には特設の展示スペースが設けられ、薬剤師会や医療関係の企業による展示や相談会などが行われていた。

 はじめに郷秀人院長があいさつ。200人以上駆けつけた市民に向けて「こうやって会場を見回しますと、私と同年代や先輩がほとんどとお見受けします」と語り「僕の子どものころは還暦といえば現役を引退して片足を棺桶に突っ込んでいるような高齢者の印象ですが、今はそうではなく、還暦といってもまだまだ現役の方がほとんどのように思います。医療の世界でも、昔は70歳を過ぎたら手術はしないのが普通だった」とした。

 その上で地域の在宅医療に触れ、「今は元気な高齢者が多いですが、それでも病気にかかります。そうしたときに入院することもあるだろうと思いますが、一方で、ご自宅で過ごしたいという人もいると思います。そのときにご家族がすべて面倒をみるのは難しいと思いますし、そういうことも考えていかないといけない。今はそういうシステムがあり、もっと良くしようと思っています。きょうは、そういった話を聞いていっていただければ」と呼びかけた。

 最初に講演した森院長は、冬場にはとくに朝晩の温度差などで陥りやすい脳卒中について分かりやすく解説した。はじめにそのリスクについて「介護認定の中でもっとも重い要介護度5の1番の原因は脳卒中であり、全体の原因でも認知症に次いで2番目になっています。ですから、脳卒中をどう防ぐか、どう症状を軽減するかは介護の問題にとっても重要なものです」と解説。

 また、その発生メカニズムの違いから異なる、脳出血とくも膜下出血、脳梗塞の3パターンのいずれにおいても共通する大きな要因に「高血圧」が存在することを紹介。「血圧については、かつては上が160、下が95で正常と言われていましたが、今はそうではなくて上が140、下が90が正常値の範囲です。そして、病院で『血圧が少し高めですよ』と言われると『私は低いですよ』と怒る方がいらっしゃいますが、血圧というのは年齢とともに上がっていくものです。昔は低くても、今はそうでないことも多いのです」とした。

 高血圧の要因として日常の食生活における塩分の過剰摂取があると指摘。「塩分は1日10グラムまでと言われますが、高血圧の方は6グラムまでです。うちの病院でも六グラム未満です、でも日本人は平均で1日10グラム以上摂取しているのです。ですから、入院に来られた方が『三之町病院のご飯は薄味で食べられない』とおっしゃることがありますが、最初はそうでも続けて食べていると食べられるようになる。そして血圧も下がってくるのです。塩分の量で高血圧になる方が多いんです。ですが、せっかく栄養指導をしても、残念ながら退院して家に帰ると、また血圧が戻ってしまうんですよ」と森院長。

 また、森院長が同病院の200人の患者を対象に行った調査において、普段からかかりつけの病院を持っている人と、持っておらず健康診断で医師の診察を勧めれても「忙しいから」と無視するような人とでは、同じ脳卒中患者であっても傾向が違うことを紹介。かかりつけがない人の場合は30代から発症しており、患者の中央値年齢が67歳だったのに対して、かかりつけの医療機関がある人では中央値が78歳と、11歳の隔たりがあることをグラフで示し「血圧などほったらかしにしていたら早くかかる可能性が高いです。かかりつけ医がいてもなるときはなりますが、発症が遅くなる傾向があります」とした。

 最後に森院長は、脳卒中については日頃の健康に対する意識と関心が重要と指摘。「いつも講演で申しますが、ここにいる方はほとんどが健康に関心がある方なんです。ここに来ていない方が問題なんです。いかにみなさんが伝えて行くか。家が代々血圧が高いということであれば、料理の味が濃いとか家庭の食生活が問題になるわけですから家庭のみんなで考えていかなければいけない」とした。              (細山)



 2018年12月17日本紙掲載