「よく滑る」、「ノビが違う」
元フィギュア選手岡アさん、試作品に好感触
 新潟県の燕市フィギュアスケートブレード開発研究会(会長・徳吉淳挙ソ吉工業社長)が完成させた試作品の試滑走が3月20日、新潟市中央区の新潟アサヒアレックスアイスアリーナで行われた。試滑走を担当した元フィギュアスケート選手で国際スケート連盟認定技術審判員の岡ア真さんは、「よく滑る」、「(市販のものと比べて)ノビが違う」と、好感触を口にした。

 燕市が誇る金属加工技術を用いた高品質のフィギュアブレードを開発し、製品化、国際大会採用などにつなげようと燕市が企画、市内の有志企業が取り組んでいる事業で、県スケート連盟や燕三条地場産業振興センター、県工業技術総合研究所県央技術支援センター、県立三条テクノスクールも協力している。

 ノウハウのない、手探り状態で始まった事業ということもあり、今年度は製造ノウハウ構築、基礎研究のために大手メーカーのモデルをコピーしたものの試作、試走までを目標とし、三条テクノスクール指導員で県スケート連盟理事長の伝井達さんのアドバイスを受けながら事業を進めてきた。

 試作品は、材料の違う4種類それぞれに、ジャンプやスピンで使うトゥの歯の枚数の違う3種類のパターンを用意。この日の試滑走は午前、午後の2回行われ、午前中は主に材料の違いによる滑り心地に焦点を当てた。岡アさんと伝井理事長はさっそうとリンクを滑り、スピンも交えながら履き心地を念入りに確かめ、同研究会の会員企業やオブザーバーは、その様子を食い入るように見つめていた。

 午前中の試走を終えた岡アさんは、「一蹴りでどれだけ進むか、ということに対して我々は『滑る』という表現をするが、きょうはそれを1番のテーマとし、確認させてもらった」と説明した上で、試作品について、「最初に氷に乗ったときに若干の不安定さというか、違和感を感じたところがあった」と指摘しつつも、「市販されている同じ形状のものと比較したときには、ワンストロークのノビというものを段違いに感じた。市販されているものと比べて、確実に滑る」と高評価。「いかにしてスケートを滑らせるかというのが、1番の基本であり永遠のテーマ。エッジワーク、技術力も必要だが、道具で、ブレードでその差が縮まる、補えるのであれば選手にとって良いこと」とした。

 また、「例えば、4回転ジャンプを跳ぶとか、そういった場合だとまた形状が変わってくるので、その辺については、次の段階に進んでからだと思う。(試作品は)どちらかというと、初心者向け、スターター向けの形状。まずはそれの品質で勝負して、ブランド力が上がったところで、トップレベルの選手が使うようになると、より物理的、科学的な検証が必要になってくる」と、今後の方向性に言及した上で、「まずは(既存品と)同じものを作って、それを超えることができたのならば、品質がいいという証明になる。まずはそこを目指してのスタートなので、そう考えれば今回の試走は上々。もう少し詰めていかなければいけない部分はもちろんあると思うが、滑るという面においては、明らかにノビが違う。それは補償する」と太鼓判を押した。

 伝井理事長は、「(製作段階で)工程ごとに感動の連続でしたが、やはり履いて滑ったきょうが、1番感動しました。岡崎先生が言って下さったように、可能性を感じるブレードができつつある」と胸を張り、「これをいい方向に伸ばし、日本中、世界中の人に使ってもらえるようなブレードを燕から発信する、という夢に向かって頑張っていきたい」と、決意を新たにした。

 試走を見守った徳吉会長は、「お2人が滑っている姿を見て、『お〜!』、『滑っているな』と」と、今年度中に試走までこぎつけたことに達成感をにじませ、岡アさんから高評価を得たことを喜びつつ、「まず大事なのが安心・安全な品質。これからまたお話を聞いて、岡アさんが気になった部分について研究し、よりよいものを作り、製品化し、ゆくゆくは大きな大会で使っていただけるようなものにできれば」と話していた。  (山口)



 2018年03月21日本紙掲載
燕市フィギュアスケートブレード開発研究会