初の東京受付、出品数大幅増
ことしで20年、雪梁舎美術館「フィレンツェ賞展」
 ことしで第20回の節目を迎えた「フィレンツェ賞展」は、新潟県の公益財団法人雪梁舎美術館(捧実穂理事長)が若手作家の発掘・育成を目的に毎年行っている公募展。同法人(発足当時は財団法人美術育成財団)とともに、新潟市西区山田の雪梁舎美術館を創設した潟Rメリの創業者で同法人名誉理事長、故・捧賢一氏が1999年からスタートさせたもので、東京都、新潟県の2会場で作品の搬入・搬出受付を行った今回は出品数が急増した。

 同美術館が1994年に開館して最初のうちは、県内ゆかりの作家を対象とした「雪梁舎展」を開催していたが、県内に絞ったことによる出品者、あるいは入賞者の固定化などが課題となっていた。そのような中、賢一氏が商用でイタリア・フィレンツェを訪れた際、「この芸術の都で日本の若い作家が学べたらどんなに素晴らしいだろう」と、出品者を広く県内外から募り、大賞受賞者などが数カ月間フィレンツェで制作活動ができるように支援するフィレンツェ賞展が始まった。

 第5回からは元フィレンツェ美術アカデミア教授のビンチェンツォ・ビアンキ氏が審査員に加わり、「ビアンキ賞」を設けるなどしたことでさらに飛躍。同アカデミアとは2014年から提携し、さらなる芸術振興に組織的に取り組む。大賞受賞者などを毎年フィレンツェに派遣していることから、現地でも認知されているという。

 また、フィレンツェ賞展の上位入賞者たちを継続的に支援することで、「美術界に新たな風を吹かせたい」という思いから、2003年に「風の会」を立ち上げた。現在はフィレンツェ賞展第1回から第19回までの上位入賞者合わせて75人が在籍しており、今秋にはフィレンツェで「風の会展」を開催する。

 フィレンツェ賞展の搬入・搬出会場はこれまで新潟会場のみだったが、物流面でのさまざまな問題と出品者の多くが県外在住だったことを踏まえ、ことしは東京との2会場体制で実施。前回の応募数が146点だったのに対し、今回は260点と大幅に伸びた。裏返せば県内の応募者が少ないということでもあり、上位入賞者に至っては「数えるほど」。賢一氏の長女で、同美術館に設立当初から携わる実穂理事長は、「全国規模の公募展ではありますが、新潟の雪梁舎なので、新潟という部分は絶対に外せない。もっと地元の作家に育ってほしい。そのためにも、もっと応募し、挑戦してほしい」と願う。

 ことしのフィレンツェ賞展は、7月7日(土)に審査会が行われ、大賞、フィレンツェ美術アカデミア賞、第20回記念賞などが決まる。その展覧会は、8月5日(日)から9月9日(日)まで同美術館、10月24日(水)から30日(火)まで東京都美術館で開かれる。

 また、雪梁舎美術館では現在、同美術館設立25周年記念「フィレンツェ賞展20年のあゆみ」展を開催中。6月23日から7月8日(日)までの前期展で第1回から第9回、7月14日(土)から29日(日)までの後期展で第10回から第19回までの上位入賞作品を展示している。

 「創立の目的は、作家の育成とふるさと新潟への文化貢献。父はずっと、『ふるさと』にこだわってやってきた。ふるさとを大事にして、新潟にこだわるけど、目指すところは大きい。ふるさとにとってどういう方向がよいのか、常に考えていました」と語る実穂理事長。「父が思い描いていた理念を守りつつ、時代時代のプラスアルファを加えながら、さらに発展させていきたい」と話していた。

 同美術館の開館時間は午前9時30分から午後5時まで。月曜休館。

 入館料は500円、中学生以下無料。

 問い合わせは同美術館(рO25・377・1888/FAX025・377・1881)へ。(山口)



 2018年06月30日本紙掲載
秋にはフィレンツェで「風の会展」