「風が吹けば桶屋が儲かる」のスタンスで連携を
かもしんきん大関倶楽部経営勉強会 
 新潟県の加茂信用金庫の取引先企業の若手経営者らがつくる「かもしんきん大関倶楽部」(阿部一郎会長)の平成30年度経営勉強会が、6月20日午後6時30分から同信用金庫本店で開かれた。「地域の活性化から『雇用』を考える」を演題に、新潟経営大学から堀峰生学長と地域活性化研究所の出口高靖所長を講師に迎えた。

 はじめに阿部会長があいさつ。「ご存じの通り、人手不足だったり、新卒や中途にしても、人を採用するのが大変な状況になっている。地域の方も、いまいちパッとしないという印象があるので、きょうのテーマである『雇用』と『地域活性化』というのは、お集まりの若き経営者にとって2つの大きな課題だと思う。本日を、有意義なお時間にしていただければ」と呼びかけた。

 続いて、堀学長があいさつ。同大学と同信用金庫が締結した包括的連携協定にふれながら、「大学はもちろん教育機関だが、それぞれの教員が勝手に教育を考えて、学生を地域に送り出す、果たしてそれでよいのだろうかという問題意識を持ち、やっている。地元の経営者の方々はどういった人材を求めておられるのか。やはり、教員は謙虚に経営者の方々の考え方、方針をうかがうことが非常に大事。地元に貢献できる学生を排出するためには、経営者の方々と一緒になって考えて、教員にも反映していかなければならない。そういう考えのもと、活動している」と述べ、今後の協力を求めた。

 講演は出口所長が行い、その冒頭で「『地域の活性化から雇用を考える』というお題をいただいたが、なかなか難しいテーマ。自分が研究したり、あるいは学生に教えていることをひっくるめても、このお題の回答になるか分からない。ヒントになればいいな、と思う」と呼びかけ、本題に入った。

 今回の演題について、「『風が吹けば桶屋が儲(もう)かる』という格言があるが、まさにこれなのでは」と、一見すると関係のなさそうな、意外なところから影響が出てくることを意味する格言が当てはまるのではないかと主張。出口所長は続いて、人口減少、空き家の増加、若手経営者の事業承継に対する意識の低さなどさまざまな問題点を挙げつつ、群馬県みなかみ町の「一般社団法人みなかみ町体験旅行」を紹介した。

 同法人は、温泉地の宿泊客減少をきっかけに、地元行政や商工団体、観光関係者などが平成20年に「みなかみ町教育旅行協議会」として立ち上げたもので、平成21年からは観光協会に位置づけられ、平成26年から法人化。各種機関と連携した各種体験プログラムなどを通じてインバウンド、農家受け入れ数を大幅に増やしている。

 同法人について、「今までのように、温泉に頼り切った観光ではムリだと判断してやったこと。とにかく、『だれが』ではなく、構成メンバー、その地域に住むすべての人が取り組み、紆余曲折がありながら、こういう組織ができた」と説明した出口所長は、「なぜこんなお話をしたかというと、これからの時代、単体でやろうとしてもムリがあるから。いろいろな視点、考え方、いろいろな人の経験値が必要。これからの経営というのは、あらゆるプレーヤー、異業種、『そこはウチの会社とは関係ないのでは』というところも、おそらくつながる。お互いの悩みごと、問題点が共通であれば、それを解決するためにつながる必要がある。我々が今やっている包括連携もそう。大学と企業、金融機関が直接的に関係あるわけではないが、そこに持っている問題、課題が共通している場合がある」と主張した。

 続けて、「これから1番大事になってくるのが、『所有』と『経営』、『運営』の分離。例えばメルセデスベンツもトヨタも、車を『売る』という行為から車を『貸す』という行為に移そうとしている。ということは利用券、車を『持つ』ということではなく『利用する』という思考。さらにいえば、レベニューマネジメント。例えば4万人以上入れられないサッカー場なら、そこからどうやって最大の利益を生むのか考えること。これらのことをやっていくことが、魅力ある会社をつくるための1つのヒントではないか」とした。

 出口所長は、「30年以上前に大学で習ったことは、今は通用しない。時代が、社会が変わっていくから。今の時代をどうやって乗り越えていくのか。魅力がある会社には、必然的に人が来る。だから、仕組みをつくり、プラットフォーマー(中間支援組織)をつくり、お互いが連携して、役割を持つ。加茂というエリアの中でどうやって人と人を、社会を、会社を、地域をつなぐのか。『つなぐ』というのがキーワードとして大事」と訴えた。
                                               (山口)


 2018年07月03日本紙掲載
キーワードはつなぐ