190年の歴史つなぎ、安定雇用めざす
瓦屋さんのテーブルウェアづくり
中小企業家同友会三条支部2月例会
 2019年03月06日本紙掲載
 約190年の歴史があるという安田瓦を製造する会社で、テーブルウェアの製造販売に踏み切った新潟県阿賀野市保田、丸三安田瓦工業鰍フ遠藤秋子副社長を迎えてこのほど、新潟県中小企業家同友会三条支部
(木村譲支部長)の2月例会が開かれた。

 丸三安田瓦工業は県知事公舎や、福島県会津若松市の鶴ヶ城の復元にも使われた安田瓦を製造販売し、屋根工事なども請け負っている。冬場の仕事を確保しようと皿や酒器などのテーブルウェアブランド「TSUKI」を立ち上げると、フランスのメゾンエオブジェ、インテリアライフスタイル東京などで注目を浴びて、料理王国100選2017調理器具・テーブルウェア部門、ニイガタIDSデザインコンペティション2017、グッドデザイン賞2017、JIDAデザインミュージアムセレクションVol.20 2019を受賞した。

 安田瓦の認知度を上げようと、同社の隣接地にあるバス停を瓦で飾ったことがきっかけで、瓦に関するオブジェを巡る「やすだ瓦ロード」や夏には「やすだ瓦ロードフェスティバル」にも参画。カフェやレストランを供え常設で安田瓦や阿賀野市の食、地場産品を紹介する拠点施設「瓦テラス」の運営にも携わって地域を盛り上げている。

 遠藤副社長は報告で「瓦屋の長女、跡継ぎとして育ちましたが、忙しくて家族団らんなどなく、天候にも左右される商売で、瓦屋は好きではありませんでした。ただ、母親を泣かせるようなことはできないという思いでした」と振り返った。

 親類同士3社の合併、工場増設と紆余曲折があった中で、転機は平成13年に夫が56歳の若さで亡くなり、長男が入社したこと。「瓦屋にだけはさせたくない、自由にのびのび育って好きな道へ」と育てたが、長男の「夜、月に照らされた瓦の美しさは格別だ、安田瓦は素晴らしい。この仕事が好きだ」という心意気に打たれて、「自分だけがかわいそう、自分だけが切ないと思っていましたが、覚悟を決めました」と遠藤副社長。

 仕事が無くなる冬場には社員に雇用保険を受給させるため短期雇用としていたが、これを改善するため他社への出向、さらには「歴史の表には出ないが、先人の血と汗の生活史がある安田瓦を後世に」という意味も込めてテーブルウェアにも取り組んだといい、経営者として「覚悟を決めた後には、中小企業家同友会をはじめいろいろな会に参加して、率直に冬場の仕事づくりの話もしました。その中で皿を作ったらという意見があり、すぐに準備に取り掛かりました」。

 遠藤副社長は住宅着工件数の減少や瓦ばなれなど課題はまだまだ多く、「新しい挑戦こそ生き残りでないかと考えている。瓦も食器も売らなければ意味がなくこれからが正念場。見守ってくれる地域の人たちが誇りで、課題を1つひとつクリアしていく会社こそ1番素晴らしい会社でないか」と報告。新たな事業にも取り組む意欲を表わしていた。
                                                (外山)