「買いもんなじらね」、「してやるて」自然体で
高齢者の移動・外出支えるフォーラム、燕市内の活動紹介
 マイカーを持たない高齢者の移動や外出について、新潟県燕市内で行われている支援事例を紹介するフォーラムがこのほど燕市中央公民館で開かれ会場いっぱいの参加者に、主催者側も「想像以上」という市民の関心の高さが示された。

 生活にマイカーが欠かせないこの地域で、マイカーを持たない、あるいは運転を止めた人の交通手段の確保はかねてからの課題。各市町村では循環バスなどの公共交通を運行するケースが目立つ。

 燕市では、移動や外出が単に生活を維持するだけでなく、人と人とが結びつき、生きがいにもなっているとして、買物難民対策、公共交通確保に留まらない福祉分野の課題と受け止めて新潟県生活支援体制整備アドバイザー派遣モデル事業を活用し、公共交通の利用を含めて「自力で移動や外出をすることが難しくなった人を支える活動やサービス」を検討してきた。

 具体的には、NPO法人全国移動サービスネットワークの河崎民子副理事長をアドバイザーに迎え、介護福祉施設や社会福祉法人、NPOの関係者で「移動・外出活動創出ワーキンググループ」を設置。今回を含めて5回の勉強会やフォーラムを実施したほか、宅配や配食サービスをはじめ支援を必要とする人が活用できる情報をまとめた「社会資源冊子」を全般的に更新、さらに要介護者や障害者の移動や外出を支援する福祉有償運送を行う団体等の出現に備えて福祉有償運送運営協議会も設立した。

 フォーラムでは、社会福祉法人桜井の里福祉会が島上地区で行う地域サロンへの送迎(社会福祉法人公益活動による通いの場への送迎)、NPO法人ねっとわーくエプロンが燕市全域を対象に行う通院介助、買物などの支援(日常生活と移送の一体型による支援)、燕東小学校区の新町で住民有志が自発的にお年寄りをスーパーに送迎する「買いもんなじらね」(住民同士の支え合いによる移動外出支援)の3つのケースが紹介された。

 桜井の里福祉会は、地域密着ユニット型介護福祉施設「はな広場・しまかみ」、小規模多機能ホーム「はな広場・よこたの家」の送迎車を使い、職員が地域のお年寄りを地域サロンへ送迎している。地元自治会で送迎が困難になっていたことから、施設の周知も兼ねて行い、社会福祉法人としての公益的な取り組みの意味合いや、職員のやりがいにもなっている。

 ねっとわーくエプロンは、人工透析患者の送迎が始まりで平成8年から22年続く。「弱小の母ちゃんの集まり」で、「金をもらって送迎してはならない」という通達を受けたこともあったが、13年前に「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様」の通達がなされ、非営利の範囲で運賃を受け取れるようになるなど、国の規制や制度が追いついてきた。

 「させていただくではなく、してやる、してもらうでいい。お送りしましょうかでなくて、連れていこねっか」と肩ひじ張らないことが長続きのコツと発表者。分水の村部から買物バスを運行する計画もある。

 新町の場合は、地元の不動尊の祭事で交わす世間話がきっかけで、80代の高齢者を50代、60代の有志が自分の買い物ついでにスーパーマーケットまで乗せていくようになった。「軽口がきっかけで、事業、取り組みという意識はない。あくまで自分が買物に行くから、ついでに乗せて行く感覚」と、ボランティアやサービスという意識もない自然な近所付き合いというかっこう。

 アドバイザーの河崎さんは発表順に「はな広場の取り組みは新潟県内の社会福祉法人としては初めてでないか。これこそ社会福祉法人で、職員が地域に出て行くことは法人のためにもなる」、「ねっとわーくエプロンのやり方は、境目のない生活支援としていいやり方」、「新町の方式は、これからは互助の時代といいながら、こういった自然な動きはなかなかない」と、それぞれ講評。万一の事故では自動車保険の対人保証が適用できるが、等級の低下に備えて補助金をプールしておくことや乗降時の事故にも備える必要があるとアドバイスしていた。
                                                (外山)


 2019年03月14日本紙掲載