年間30万人目指して
ブレないコンセプト、ますます重要に
平日でも来店者は「当初の土曜日並み」に 新潟県燕市物流センター二、ファクトリーアウトレットショップ・ストックバスターズ(岩佐重久店長)が、今年10月5日で開店10周年を迎える。地場企業が抱える共通の経営課題「在庫退治」を目的に、三条市、燕市の協力企業25社で始まった同事業は、10年目にして協力企業120社となり、延べ来店者数は120万人を超えた。

 観光バスの発着は1000台に迫り、高いリピート率により、目標としてきた「年間来店者数30万人」も現実味を帯びている。運営側も「時間はかかったが、当初の目的の通り定着してきた。燕三条の観光地の1つとして認識されているのでないか」と見ている。

 10月には記念の催しも予定し、ネットショップの展開も検討する。

 2010年の来店者数は約19万1000人、売上金額は約1億8000万円、2011年は約23万1000人の来店で、売上金額は約2億3000万円。1年で来店者数にして20%、売上金額にして27%の伸びで、2004年の9万3000人、9200万円から比べれば2倍以上の成長を遂げたことになる。今年1月から3月で売上前年対比22%増、来店者16%増、大雪による2月の落ち込みがあっての数字で、伸び率の大きさが分かる。

 「地場のメーカーや商社が抱える共通の経営課題である在庫を、いち早く効率的に換金し、かつ廃棄処分を減らすことで環境にも配慮する」、当初から変わらないコンセプトがこれ。在庫が少なく提案できない、仕様違い、廃番、ユーザーが使用する場合に何ら問題はないが「理由(わけ)あって」定価の5割から9割引で販売。現在の言葉で言えば協力企業、消費者と「WIN―WIN」の関係構築を先取りしたかっこうで、企業側でも「好不況関係なく、必ず在庫は出て来るもの。世の中の流れが速くなるほど、売り場の商品の入れ替わりも早くなり、その分、廃番商品も増える。むしろ、ストックバスターズの必要性は増しているのでないか」とする。

売れ筋は包丁、ナベなどのキッチン用品。レンジ調理関係も人気だ
売れ筋は包丁、ナベなどのキッチン用品。レンジ調理関係も人気だ
 在庫が中心のアウトレットのため、取扱商品は必ずしも一定ではないが、生活に不可欠なキッチン用品が主力。極力出費を抑えたい昨今の消費者心理ともマッチして、リーマンショック直後に急激に売上が伸びた時期もあった。「いいものを、より安くは商売の基本だと、改めて気付かされる」と関係者の1人。「完成品の多い地域だったこと、衣食住の中でもどうしても必要な生活に直結した商品が多かった」ことも成功の要因。目的買いの来店者が多いこともこれを裏付けている。一方、成功要因がはっきりしながら、未だ追随する後発が現れないことは、この事業の難しさや、燕三条地域の特異性を表している。

 県外からの観光バスは、昨年で700台強、ストックバスターズを含む寺泊ルートは旅行業者からも定評があり、特に長野、群馬、栃木の各県から大勢の人がやって来る。「寺泊の魚のアメ横で鮮魚を買い求め、包丁やまな板などの調理用具をストックバスターズで買い求める方が多く、同じルートでも友達を誘ってリピートして下さる方、あるいは滞在時間の短い観光バスでなく、自家用車でリピートして下さるお客様もいらっしゃる」と岩佐店長。滞在時間は平均して1時間弱、長い人では1時間半以上の人もいて、「30分から40分程度の観光バスでは短く感じることが多い」ためだ。

 地場企業の経営課題を解決するというコンセプトが、近年では産業観光の研修先としても注目されていて、市役所、商工会議所といった「固い先」からも好評を得ている。

 岩佐店長は「協力企業あっての10周年ではありますが、物流センターの真ん中で、地元の人でもなじみが薄いという人もいる立地。『当初はこんなところに人が来ると思わなかった』という方もいました」と、振り返る。利益の多くを新聞、雑誌、テレビ、ラジオといった媒体を活用する費用に割いてイメージ戦略を打ってきたことも定着の要因として大きく、加えて観光バスも「大きな宣伝ツールの1つ」と位置づけている、「口コミ」の効果を十分認識しているためで、年間約10回行うイベントやフェアなどの企画も、雑誌などの媒体を意識した戦略の1つ。

 協力企業が増えたことによって店にも変化があった。「はじめは価格を前面にしていたが、協力企業数が増えたことで、価格プラス品ぞろえの部分でも満足度が上がってきているのでないか。常に120社の商品が並んでいる訳ではなく、まだ協力企業を増やす余地がある」とする。

 運営元の親会社、和平フレイズ(株)では「地域に貢献する」という意義を大きくとらえていて、昨年の東日本大震災では燕市内に避難している人たちに、2000円分の買い物券を配布、市内に住む人はもちろん、福島県内の仮設住宅に移る人たちにも「家財道具がそろえられた」と好評だった。

 今後は「1つ1つの目標をクリアしていく」といたってシンプルだが、今年1年の来店者数は27万人、観光バスは1000台を見込んでいて、今までのペースで来店者数が伸びれば再来年にも年間30万人の大台に届く勢い。「現在は安定的な営業をできるまでになっているが、赤字を解消できたのが、ようやく2年前。コツコツやってきた成果」としていて、今秋にはネットショップの開店の準備に入る。   
                                               (外山)

 2012年04月19日本紙春季特集号掲載
ストックバスターズ10周年