手間、コスト減で輸出のハードル低く
「燕三条からシンガポールへ商流」共同輸出仕組み構築
共同輸出仕組み構築 ジェトロ、地場産等とツバメロジスが協力
 燕三条ブランドのシンガポールにおける定着を促進するための国内の輸出体制として、昨年12月に新潟県燕三条地域で初めて通関業免許を取得した新潟県燕市大関、ツバメロジス(株)(山田貢市社長)が輸出者となる共同輸出の仕組みが構築された。

 ジェトロ新潟と燕三条地場産業振興センター、三条市、燕市が共同で行う「燕三条ものづくり企業海外販路開拓プロジェクト」の今年度の取り組みとして進められたもので、第1便となる11社、31点の商品は13日の船積みで東京港からシンガポールに向けて出港し、今月末からシンガポールのローゼンインターナショナルでネット販売や現地百貨店でのフェアなどを中心に販売される。

 「燕三条ものづくり企業海外販路開拓プロジェクト」は、2015年度から3年計画でジェトロが中心となって進められてきたプロジェクト。2年目から燕三条地場産業振興センターなども連携して事業の幅が広がり、3年目の今年度は、1年目、2年目と継続してバイヤーなどを招へいしてきたシンガポールにターゲットを絞り、ブランドの定着のために8月にはシンガポールABCクッキングスタジオの講師を燕三条地域に招いて燕三条製品や産地の魅力を伝えた。

 このブランド定着と並行して進めてきたのが共同輸出システムの構築。1年目、2年目のプロジェクトを踏まえ、ジェトロ新潟と地場産センターが地場の企業に輸出についてのヒアリング調査を行ったところ、輸出におけるコストと書類などの手間が大きな課題となっていることが浮き彫りとなった。ジェトロ新潟の小野澤麻衣所長は、「そこそこの量を出す企業にとっては、昨今、いろんなバイヤーが出てきているので、必ずしも理解のあるバイヤーとは限らず、商談で成約しても、実際に輸送費を積み上げたら、こんなに(高く)なるよとなると、やっぱりやめますというケースもありました。また、そもそも輸出のノウハウが分かりません、それを習得する時間もありませんとなると、それがネックで技術や製品が優れていても輸出にこぎつけられないということもありました」と、コストと手間が輸出に際して大きなネックになっていたと話す。

 この課題を解決するために検討されたのが、共同輸出の仕組みの構築で、ちょうどツバメロジスが燕三条地域で初めて通関業免許を取得したこともあり、4者とツバメロジスとで共同輸出システムの構築が進められた。

 ツバメロジスでは、以前から国際事業にも取り組んでいたが、昨年9月に社内に国際物流部を立ち上げてさらに事業を強化。昨年12月に通関業免許、今年3月に第一種貨物利用運送事業を取得し、現在は第2種貨物利用運送事業の申請も行っている。さらに、年内をめどに保税倉庫として認定を受けるよう、こちらも手続きを進めている。

 今回の共同輸出は、すでに輸出を行っている企業にとっては輸出に関するコストが抑えられることで現地での販売価格も抑えられるなどのコスト面でのメリット、輸出したことがない企業にとっては手間をツバメロジスが代行してくれるというのが大きなメリットと、国際物流部の中嶋一尚部長。

 また、実務を担う 田扶友子さんは、「海外用の梱包もあり、企業様の中ではそうした梱包をしたことがない企業様もあります。そういった企業様に対しても、海外に出してもらう第1歩として、あれをやってください、これをやってくださいと細かく言っては嫌になってしまうと思うんです。かゆいところをこちらで吸収してあげたいと思います」と、共同輸出の仕組みで、海外輸出のハードルを下げることができるのでないかと、第1便の輸出作業の経験も踏まえて話す。

 共同輸出の仕組みは、地場産センターがとりまとめ役となるが、実際は、ツバメロジスが各企業から受注する形で輸出、シンガポールではローゼンインターナショナルが拠点となってBtoB、あるいはBtoCで販売していく。商品の輸出と代金回収はツバメロジス、売れた商品などの情報のフィードバックは地場産センターと、「ツバメロジスがハード、地場産がソフト」の仕組み。

 今年度は、公募により11社、31点の商品に絞り込み、10月末から2月末まで販売し、その結果を踏まえて次年度以降の見直しに反映していく予定。プロジェクトとしては今年度で終了となるが、小野澤所長は「送ったから終わりではだめで、シンガポールでのなんらかの普及支援を、ジェトロとしては現地に事務所もありますし、地場産の拠点もあるので、連携しながらやっていくことが肝になると思います。それをやっていくことで売れてくれば、ほかのバイヤーも関心を持ってくれるかもしれません。新たなバイヤーの発掘も現地拠点と連携してやっていくことで次につなげられれば」と話した。
                                              (石山)

 2017年10月27日秋季特集号掲載