燕三条製品内外へ、結節点に
産地のジレンマへ一石 村の鍛冶屋SHOP
 燕三条地域で製造される刃物や園芸用品、アウトドア用品などを販売するインターネットサイト「村の鍛冶屋」を運営する新潟県三条市北入蔵二、(株)山谷産業(山谷武範社長)はこのほど、同社隣接地に実店舗の「村の鍛冶屋SHOP」を開店した。インターネットで取り扱う約3万アイテムから1000アイテムを厳選して展示、販売するほか、刃物やコーヒー道具の使用体験もできる。

 燕三条地域のショールーム≠ニして自社取り扱い以外の商品も展示し、メーカーなどにつなげる結節点の役割も担い、地域で製造しながら、地域住民が手にとりにくかったジレンマの解消や、将来は、地域の空き家を活用した宿泊ツアーの開催なども構想している。

 村の鍛冶屋の看板商品の1つ「鍛造ペグ」を買い求めようと、首都圏をはじめ遠くは広島県からも来訪者があったことが開店のきっかけの1つ。山谷社長は「インターネットで買うことができるのに、『ここへ来て買いたかった』という人たちだった」と話す。

 「現地で買いたい」という人の流れに対応するとともに、「燕三条地域の製品を燕三条地域の人に使ってもらいたい」という思いも込めた。地域で製造する商品でありながら小売店で取り扱いが少なく、ファクトリーショップや一部専門店などを除けば地域内で消費者が地場産品を手にする場は、公共的な存在の燕三条地場産業振興センターに限られ、「燕三条製品を燕三条で買うことができない。買うことができる場所が分かりにくい」ジレンマの解消へ、民間企業として一石を投じる。

 三条市が、価値(コト)や流通(ミチ)について全国で活躍し、三条地域でも実績を残している「コト・ミチ人材」から支援を受けて開発や販路開拓を行う市内企業を支援するコト・ミチ人材連携支援事業を活用した。

 燕三条工場の祭典を監修しているmethod(メソッド)の山田遊さんがデザインや商品セレクトなど全体を監修し、13代中川政七さん率いる(株)中川政七商店の大日本市を手掛けているABOUT(アバウト)の佛願忠洋さんが店舗デザインを手がけて、同社隣接地に、新事務所や倉庫を兼ねた鉄骨2階建の店舗を建設し、1階部分にキッチンやガーデンスペースを設けた店舗を構えて、5日から8日まで開催された第5回燕三条工場の祭典に合わせて開店した。

 店舗の前面には鍛造ペグがカラーバリエーションやサイズごとに並び、ペグの製造工程で排出された抜き型(ブランク材)も販売。ペグの製造工程が一目で分かるようになっている。

 同社の主力を担っていた海の専門道具や、鉞(まさかり)、包丁、鉈(なた)と地元の鍛冶職人が作る刃物、木工製品、調理器具、燕三条工場の祭典で、燕三条地域で製造されていることがクローズアップされたコーヒー道具、地場メーカーのアウトドア用品、ジェラート、コーヒー、味噌などの食品まで、すべてが燕三条に関連する商品で、高価格帯よりも、普段使いしやすい普及価格帯が中心。

 店舗では実際に手にとって見るだけでなく、燕市で製造されるアイスクリームスプーンでジェラートを食べる、コーヒー豆をひき、ドリップポットでコーヒーを入れる、包丁で野菜を切るなどの体験をキッチンで、屋外ではペグやペグハンマーの使用や、薪割りなど、ネットを補完する体験を行うことができる。

 同社で取り扱いのない商品の使用体験ができることも特徴。「ショップカードを用意するなどで、商品を気に入っていただければ紹介することもできる。地域全体に波及効果があれば、周り回って弊社にもメリットがある」と地域全体をPRする方針。刃物などを納入するメーカーがショールームとして利用することも想定している。

 ネットを補完するセレクトショップであり、ショールームであり、燕三条製品の結節点。

 プレオープンに駆け付けた納入業者の1人は「ネットを補完し、地域内で手にとって見られるというのは心強い」と開店を歓迎していた。

 来春にはガーデニングやDIYを体験できるよう、屋外に畑なども整備する予定。山谷社長は「職人と道具を使う人を結び付けたい。将来は下田地域の空き家を改装した宿に宿泊し、職人を訪ねるツアーや、下田、三条を象徴するような道具を作ることが目標。内外から評価されるよう、燕三条を盛り上げていきたい」と話していた。

 営業時間は午前10時から午後4時まで、日曜日、祝日定休。

 サイトは、http://www.muranokajiya.jp/

 問い合わせは同社(TEL0256・38・5635/0256・38・6489)へ。       
                                              (外山)

 2017年10月26日秋季特集号掲載