屏風の魅力、時代に合わせて
ウルトラマンや「燕三条 工場の祭典」とコラボ 加茂市秋房、椛蝟ゥ文吉商店
 2017年10月26日秋季特集号掲載
 屏風や家具、仏具などを企画・製造する新潟県加茂市秋房、(株)大湊文吉商店(大湊陽輔社長)は、時代の流れを敏感にキャッチしながら、オリジナリティーあふれる屏風を提案している。

 ウルトラマンシリーズでおなじみ円谷プロダクションとコラボした屏風、長岡造形大学の学生プロジェクトチームと連携した「燕三条 工場の祭典」オリジナル屏風など、一般的な屏風のイメージを覆す斬新な品が次々と誕生。「屏風というものを、これから先もずっと使い続けていただきたい」と願う大湊社長は、顧客のニーズを十分にくみ取りつつ、長年培われてきた技術を駆使し、現代日本の生活様式に即した屏風を生み出し続ける。 
                                              (山口)

   
 同社の創業は明治時代初頭。当時の主力商品は、防腐などの用途で用いられる「渋紙」で、加茂産の和紙に柿渋から抽出したものを塗って仕上げ、主に畳の下に敷いて防虫シートとして利用されていたという。

 昭和に入ると、加茂に根付くたんすや建具の技術を用いて表装屏風の製造卸を始め、特に簾(すだれ)屏風が大ヒット。昭和50年代には、洋風のテイストも取り入れた障子屏風を開発し、人気を得る。昭和60年代に入ると、総合的なインテリアへとすそ野を広げ、幅広く商品展開。平成17年からは、100年後も使える生活用品「百年物語」プロジェクトに参入し、海外市場にも進出している。

 部屋の仕切り、装飾としてかつての日本人には欠かせない調度品だった屏風だが、西洋式のライフスタイルが浸透していくにつれて需要は落ち込み、同社では現在、年商の6割近くを仏具が占めている。

 「屏風の文化を残していきたい」と取り組む同社が注目したのは、円谷プロダクションがウルトラマンシリーズ放送開始50年を機に、昨夏からスタートさせた「ウルトラJ」プロジェクト。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ウルトラマンが全国各地の地域資源を深堀りし、日本の魅力を世界に発信する事業で、伝統的工芸品とのコラボもその一環。同社は、プロジェクトが始動してすぐに参加し、約1年間の開発期間を経て、国民的ヒーローが描かれた特製屏風を完成させた。

 ウルトラマンと富士山、ウルトラセブンと松竹梅が描かれた2種類で、いずれも天然木の骨組みに真ちゅう箔の表装を施した本格金屏風。絵柄は同プロジェクトに携わるイラストレーター・水墨画家の與座巧さんが手がけ、それをシルクスクリーンで印刷している。

 サイズは4尺2曲(幅44センチ、高さ116センチ)で、価格は縁ありが税込み10万8000円、縁なしが税込み9万7200円。今夏から販売開始し、大きな反響を呼んでおり、小型サイズの開発・販売も予定している。

 大湊社長は手応えをにじませつつも、「ウルトラマンの屏風、もちろん買ってほしいですが、『これを何個売ってもうけたい』という話ではありません。ウルトラマン以外の画材を使いたいという話があれば、どんどんやりたいし、何でも受け入れたい。それが目的。大事なのは、屏風を作り続けること」と強調する。

 また、同社は、10月5日から8日まで行われた「燕三条 工場の祭典」に参加し、工場見学やワークショップを行ったほか、長岡造形大学の学生たちがデザインした6尺6曲のオリジナル屏風を形にした。

 屏風は工場の祭典の期間中、JR燕三条駅の改札付近に展示。若い感性とピンストライプのマスキングテープが乗降客の関心を集め、イベントの盛り上げに一役買った。「(学生たちのアイデアは)面白かった」と振り返る大湊社長。屏風に新たな活用方法を見出すとともに、若者が屏風にふれる機会を提供した。

 屏風について、「『伝統工芸だから』と保護してもらう必要なんてどこにもない。一般の方から、ニーズのあるものを作りたい」と語る大湊社長。「ここ(屏風)に何を描いてもいい。屏風というものを、使ってもらえるのなら。鎚起銅器だって、昔は酒器や茶器くらいだったが、今ではビアカップだったり、ワインクーラーを作ったりしている。同じこと。お客さんから本当に求められるものを作って、お金をもらって、会社を運営して、従業員が仕事をして、そうやって技術が次の世代に伝わっていく。それが、ウチの目指しているところ」と、培ってきた技術を時代に即した形で発揮できる品物、サイクルを作り、その流れの中で技を伝えていくことの大切さを語る。

 今後のビジョンについて、「屏風を残すための努力をこれからもやっていくし、そういう人間を養成している。また、それと並行して、今持っている木工技術を、今の生活スタイルに合ったものに提案していきたい」とした。

 問い合わせは、同社(TEL0256・52・0040/FAX0256・52・0433/http://www.oominatobunkichi.com)へ。