「リスク避けるのは大切」
創業50周年に向けた一手 (株)サンカ、塚野目に機械工場
 2018年01月04日冬季特集号掲載
 生活雑貨から除雪用品まで、幅広いジャンルのプラスチック製品をはじめ、園芸用の金属加工品なども手掛ける総合メーカーの新潟県三条市三貫地新田、(株)サンカ(神子島岩男社長)は、昨年12月に、本社近くの塚野目地内、金属工業団地内に新工場を建設した。

 2016年には2月に英語版ホームページを追加、さらに3月に市内の木材加工メーカーの(株)サンモクをグループ化、6月には三重工場を新設するなど、順調に事業を拡大している同社。

 2019年の創業50周年を迎えるこの時期の新工場新設について、その狙いや同社の事業方針について神子島社長に話を聞いた。          (細山)

 新工場は、本社近く、市道沿いにある工業団地の一角。同社が確保した2400坪のうち、980坪を使った。ゆくゆくは隣接地に事務所を建設することも視野に入れている。

 同工場は「サンカ機械工場」の名前の通り、同社の「産業機器部品」、「オリジナル商品」、「OEM」という3つの柱の1つ、産業機器部品の製造機能を集約させた新工場。

 これまで、同社の産業機器部品については、本社近くの工場で、「機械棟」、「板金棟」など、それぞれ加工工程に合わせて異なる建物を設けていたが、今回の集約により、業務の効率化が図られ、生産性が上がった。神子島社長は、「たとえば、今まで800の製品が作れたところで、同じ時間で1000作れるようになります。あるいは、100人必要な仕事が80人でできるようになるかもしれない。産業機器部品の受注は、2、3年前から少しずつ増えてきました。そのためにも効率的な設備が必要になり、そのために移るということ」と狙いを話す。

 サンカ、といえば市内産業界では、OEMによりプラスチック製品のイメージが強く、一方で、昨今は機能性とデザイン性に優れたオリジナルブランド「squ+」の生活用品やガーデニング器具などが徐々に市場で存在感を示してきた。また、全国的に雪で苦しめられた冬には、スノーダンプやスコップなどの除雪用品などでも注目される。

 一方で、産業機器部品のイメージは少ない。実際には、機械加工、プレス加工、溶接加工、ワイヤー加工などトータルな加工技術を確立し、市内の暖房器具メーカーをはじめ自動車用パーツなどさまざまな分野で多くの企業と取引しているのだが、エンドユーザー向けの製品でないためか認知度は低い。

 それについては、神子島社長も「今は、産業機器部品は売上全体の10%程度で、地場産センターで開かれた『ものづくりメッセ』でも、『おまえら挽物(旋盤による金属加工などの俗称)をやるのか』と驚かれたくらいです」と認めているほど。

 このタイミングでの新工場は、3つの柱のうちの1つである産業機器部品事業の底上げで、よりバランスのよい多角的な事業展開を進めていくことにある。

 そのために、この新工場には、一部で新規の設備を導入し、より幅の広い受注に対応できるように機能強化を図った。また、ゆくゆくは敷地内に事務所などを設ける構想もある。

 なお、これまでの工場については、当面は倉庫などとして活用していき、将来的な利活用について検討を進めていく。

 同社では、2016年には、三条市内の木材加工メーカーの(株)サンモクをグループ化し、木材加工の分野にも進出し、現在は、「金属」、「プラスチック」、「木材」の3つのマテリアルで事業を展開している。さらに、本社のある新潟のほかに、三重工場、長崎県の九州工場と3つの生産拠点を分散して置くなど、常にリスクの削減には余念がない。ホームページのデザインからも明白だが、同社の、神子島社長のこだわりは「3」という数字。23歳で創業、33歳で社名変更、43歳で本社移転と「3」の節目に企業として大きな転換期を迎えている。

 それも偶然ではない。「『三』条市『三』貫地の『サン』カだからね。私は『3』にこだわっているのです」と話す神子島社長だが、その冗談とは裏腹にリスク削減に対しては常にシビアな判断を下している。「あれこれするより、資本を集中させた方が効率的にやれるのは間違いないんです。でも、経営者としてはリスクを避けるのは大切なこと。ですから、いろんなことをいっぱいやっています」と神子島社長が訴える通り、リスク削減は、自社の従業員や取引先企業、地域も視野に入れての取り組みでもある。

 同社は、神子島社長が7「3」歳となる2019年には創業50周年の半世紀の節目を迎えることになる。その大きな節目を前に、神子島社長は、同社の今後の成長ビジョンを明確に持ち、2019年のあるべき「サンカ」を具体的に描いている。「今は詳しくは言えないし、書かないでほしい」ととぼけるが、今回の機械工場の新設は、創業50周年の飛躍に向けた大きな1歩であることは間違いない。

 サンカが、着々と成長し地域経済において影響力の大きくなっている一方、その経営者であるにも関わらず表舞台にはあまり出てこない神子島社長。創業50周年の2019年6月に向け、3度目のお遍路巡りに挑み、「来世は保育園の園長さんになりたいね。子どものために生きたいんです」とおどけながらも、同社の今後について、より安定的な成長を目指し、着々と事業を展開している。