燕商工会議所、HIENプロジェクト中核に
本業生かし、「紫宝」の魅力再発見
潟tォーワテック・ジャパン
 2012年末のキックオフを経て、2013年に動き出した、燕商工会議所の農商工連携プロジェクト「新商品開発産学研究会」。その後、会として、県が開発し市内で少量生産されている、健康などの面で機能性が高い紫黒米「紫宝」を核とした「HIEN(ひえん)プロジェクト」として取り組むこととなり事業を展開。全国への情報発信や加工流通を模索してきたが、このほど三条市直江町四、潟tォーワテック・ジャパンが事業に参加、同プロジェクトの事務局となった。

 燕商工会議所の事業を主管するかたちながら、印刷・デザインなどを本業とする同社の強みを最大限に生かし、魅力的な商品を次々と市場に投入している。

 今回、同社におけるプロジェクトについて、あり方と今後の動向をプロジェクトリーダーの遠藤智弥さん、ブランドマネージャーの長谷川裕紀さんとプロダクトマネージャーの岡本麻里さんに話を聞いた。

 商工会議所主導時代のプロジェクトは、物販としての米そのものの販売や市内の商店での小規模な加工販売を行っていたものの、料理コンテストのテーマとしての使用などのイベント用途でのPRが中心だった。その中で東京ギフトショーにも出展し引き合いがあったものの、商工会議所の組織的に対応できるものではなく、同商工会議所として、流通の専門業者の必要性を痛感し、紆余曲折を経て昨年度からフォーワテック・ジャパンが流通販売を手掛けることになった。

 現在、同社が販売しているのは15アイテム。玄米や米粉もあるが、あくまでメーンは菓子類。「焦がしバター」、「ゴルゴンゾーラ」、「フレンチコーヒー」、「ガーリック」の4種類のフレーバーを用意した黒米ラスクは、自立するポーチ型のパッケージに入れた。カバンに入れたり、デスクでも手軽に食べられる。

 また、新感覚のあられ、黒米ライスクラッカーもある。若者が敬遠しがちな米菓だが、2種類のフレーバーを個包装で1つのカップの中に入れるパッケージが特徴で、別々に食べたりミックスして食べたり楽しみ方は自在。ストロベリーやキャラメルなど若い女性が親しみやすい風味と、スポーツ観戦などで食べやすいカップ型にこだわった力作。

 このほか、地元菓子店によるシュークリーム、ロールケーキもラインナップにそろえる。

 県内では、新潟伊勢丹のほか、燕三条地場産センターなどでも購入できる。

 いずれも、パッケージデザインを統一し、シンプルだが目を引く商品群としてブランド化している。まさに印刷やデザインを専門とする同社ならではの強みを生かしたかたちで、紫宝の機能性や健康的なイメージから、同社では美容や健康に関心が高く情報発信力がある30代前後の女性をターゲットにプロダクトやブランドを展開している。

 同社としても食品を取り扱うのは初めて。「僕らには得意にしている販路はありますが、その中に食品はありませんでした。しかし、アパレルや百貨店に提案していくのは得意としていて、そちらに進めていきました。背景には、新しいマーケットを作りたい、という思いがあります」と遠藤さんは話す。

 また、プロジェクトの中核となる製品開発を手掛ける長谷川さんと岡本さんは、それぞれ「古代米を知らなかったが、まずは『おいしい』と思いました。それに女性として髪や肌がきれいになるということでサプリみたい」、「黒い食品というのは魅力的ですし、身体に良いイメージがあったのですが、この米もまさにそうでした」と、その魅力を語る。

 遠藤さんは、「新潟に住む者として、米を扱う責任は重い」と語る一方で、米として見た場合に、通常の主食用品種とまったく違う価値観で魅力を発信できることに興味を持つ。「アンチエイジングの機能はあるので、こちらも女性2人が女性をターゲットに毎日の生活にすっと入っていくようなものを発信していきたい。最終的には玄米が普通に売れるのがゴールなんでしょうが、それを自然に待っていても100年はかかると思います。だから、まずはお菓子から入っていきたい」と話す。

 販売も順調で、すでに全国の百貨店に流通している。また、紫宝の生産についても、燕市内の農家1軒で行い、昨年は28アールの作付けだったが、ことしは46アールと拡大。今後、さらに生産量が増えていけば、燕市の新たなブランド農産品になり、農業振興に寄与する可能性もある。

 また、現在は県と共同で、新しい「低糖質」をうたったラスクの開発を進めている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、市民のスポーツや健康への関心の高まりを見越したものだ。現在、若者に炭水化物が敬遠され、米の消費にも影響を及ぼしている中で、美容や健康などの機能性を売りにした紫宝を使った加工品の可能性は決して小さくはない。

 今後は全国に発信していくと同時に、「HIEN」の名称や3羽のツバメのロゴが示す通り、「燕」にこだわり、地域のPRも図っていく。

 遠藤さんは、新潟市がガストロノミーツーリズムに力を入れていることを挙げ、「本当にそれができるのは燕市だと思うんです。燕にはカトラリーなどがあり食文化がしっかり根付いている。その視点でいけば燕市が1番だと思います」と話す。      (細山)



 2018年10月25日秋季特集号掲載