世界一周の縁で燕市に
4月の開業目指し、沼田さん、大岡さん
 新潟県燕市のサンロード宮町商店街に、20代、30代の若者がにぎわいをもたらしている。世界一周の旅で知り合った沼田基さんと大岡翔さんは、やはり旅で知り合った人の縁で宮町地内に4月からゲストハウスを開業する予定で準備を進めており、沼田さんは「海外で知り合った友だち、海外から帰ってきて日本の各地に散らばっている友だちを呼んで、工場を見てもらって、商品を買ってもらう、そして夜は商店街で飲んでもらいたい」と地域と工場のかけ橋になりたいと話す。


 沼田さんは1986年1月、大岡さんは1985年10月生まれの同学年。2人の最初の出会いは2017年1月、キューバのゲストハウス、別々のルートで世界一周をする中で出会い、同じように世界を旅する仲間と共に酒を酌み交わした。それぞれ別にキューバを旅立ち、翌2月、塩湖の絶景が有名なボリビアのウユニ村で再び出会う。さらに5月、今度はフランスのパリで再会し、そして、一緒にアフリカを縦断することを約束して別れ、6月にエジプトのカイロで待ち合わせ、2カ月かけてアフリカを縦断した。このアフリカ縦断中、沼田さんは日本でゲストハウスを開業したいと、一緒に手伝ってほしいと大岡さんに持ちかけた。

 沼田さんは神奈川出身、大岡さんは兵庫県生まれ大阪府育ちで、学生時代、社会人時代も燕三条地域はおろか新潟県とも無縁。そんな2人が燕市でゲストハウス開業を目指しているのは、やはり世界一周の旅での縁。沼田さんは、世界一周の旅を目指すにあたり、フィリピンの英会話学校に通って英語を学んだ。この時に、同じく学校に英会話留学をしていたのが、三条市高安寺、叶z訪田製作所で働く水沼樹さん。世界一周の旅から帰り、ゲストハウスを開業するために、神奈川県真鶴町や東京都奥多摩町、千葉県佐原市などの物件にあたったが、沼田さんが思い描くような物件は見つからず、見に行った物件をSNSに上げていたところ、水沼さんから「燕三条においでよ」と連絡が入る。

 沼田さんが初めて燕三条を訪れたのが昨年の6月末。訪れて最初に行ったのは物件探しではなく工場見学、その工場見学で知り合った人から人へと縁が広がる。行政なども巻き込んで数十件の物件を見て回り、5日目には、宮町地内の物件に心を決めた。それまでまったく知らなかった地域に、数日の滞在で移住までをも決めた沼田さん、「新潟と言えば、酒がうまい、米もうまい、海鮮もうまいし、フルーツもある、温泉もある。でも、これって日本中どこの地域も言っていることで、やっぱりここの強みというのはオープンファクトリーなんです。工場の祭典にも今年、ボランティアで参加させてもらいましたが、工場を深く知ることができました。まだまだ勉強不足ですが、この工場の祭典を毎日やりたいと思ったんです。このゲストハウスで」と、燕三条地域の工場に心を動かされた。

 大岡さんはと言うと、沼田さんよりも早く帰国し、趣味で始めたカメラの腕を生かして、関西でフォトグラファーとして活動。そんな時に沼田さんから誘いを受け、工場の祭典に合わせて燕三条地域に初めて足を踏み入れる。フォトグラファーとしてカメラを肩にかけてきたが、「カメラを単管に持ちかえて」ボランティアとして参加して、「町の活気がすごいなと。20代の若い子が地元を盛り上げようと頑張っている姿が新鮮で」と、若いボランティアの姿に感銘を受ける。大岡さんは、ゲストハウスを手伝いながらも「カメラマンとしても勝負したい。この地域には、いろいろ可能性も感じている」と、燕三条地域の商品の「ブツ撮り」など、地域の産業にも貢献したい考え。なお、大岡さんが撮影した世界の風景を集めた写真展「世界を感じる写真展」が、1月12日から、ものづくり学校で始まる。

 ゲストハウス「トライアングル」は4月23日にオープンする予定。素泊まりで1泊2000円、14畳の部屋に2段ベッドを5台と、女性専用の6畳の部屋に2段ベッドを2台置き、共用のシャワー3室を設ける。もともとは瀬戸物販売店で、現在、改修を進めており、その費用は金融機関からの借入と助成金、そして自己資金でまかなった。クラウドファンディングで100万円を目標に運営資金を集めている。

 また、同じ場所にバーも開店する。2人がけのテーブルが2席、カウンター11席、6席の小上がり席。「旅をする人というのはローカルな情報を求めています。宿泊者が地元の人と情報交換できる場になれば」と沼田さんは話す。




 2019年1月4日冬季特集号掲載