「災」の1年、存在感増す
「ラストワンマイル」さらなる体制充実に
NPO法人コメリ災害対策センター
 
 
 昨年12月12日、平成30年の1年を表す「今年の漢字」が「災」と発表された。6月18日に発生した大阪府北部地震、6月28日から7月8日にかけて西日本を中心に広範囲で被害をもたらした平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、9月4日に上陸し関西国際空港でタンカーが連絡橋に衝突した台風21号による被害、そして、9月6日に発生した北海道胆振東部地震と、昨年は災害が頻発した年だった。

 平成16年、新潟県三条市で甚大な被害をもたらした7・13水害、震度6強を記録した中越地震をきっかけに、翌平成17年に設立されたNPO法人コメリ災害対策センター(理事長・捧雄一郎㈱コメリ社長)は、昨年の災害でも、物資供給で重要な役割を果たした。支援のあり方も変わってきていると話す古澤通規常務理事は、「一昨年が災害が少なくて、比較した時には昨年は非常に要請が多かった年でした。しかし、私どもも14年目を迎え、いろんなスキルアップをしていますので、同じ要請の量でも社内の連携が非常にスムーズになっています」と昨年を振り返り、「ラストワンマイル」のさらなる支援物資提供体制の充実も見据える。

 コメリ災害対策センターの大きな役割は災害時の物資供給。1100店舗を超えるコメリグループの店舗網、全国10カ所の物流センターによる物資供給ネットワークを通して、自治体等からの要請に従い、迅速かつ円滑に物資を届ける。

 大阪北部地震では、大阪府が取りまとめて要請を行ったこともあり、3自治体に対して、延べ土のう袋5000枚、ブルーシート6100枚を提供。西日本豪雨では、土のう袋17万枚と昨年1年間で提供した土のう袋の九割近くを提供。避難所が長期に設けられていたこともあり、水やトイレットペーパー、ゴミ袋、住宅用洗剤など163品目にわたる日用品、スコップや一輪車などのボランティア用品の要請も多かったという。台風21号でも、土のう袋1万2000枚、ブルーシート4150枚を提供した。

 少し状況が違ったのは北海道胆振東部地震。「北海道についてはこれからということもあり、被害の広さに対してこちらが対応できていなかった」と課題も浮かび上がった。また、大規模停電も課題に拍車をかけた。「全道停電したことで、流通センターが機能しきれなかった部分があり、信号がつかなかったことでトラックが動けないということもあった」。そうした中でも、水や発電機、手指の消毒などの物資を提供した。

 大阪北部地震では、被災自治体のほかに、熊本県熊本市、同大津町からの応援 支援の要請もあったと言い、西日本豪雨でも10自治体、台風21号では2自治体から応援支援の要請があった。「当初は協定先、被災自治体が欲しいという要請だったものから、だんだん変わってきて、実際に被災はしていないんですが、相互応援協定を結んでいたり、以前支援してもらった恩返しだったりという形も増えてきています」と古澤常務は話す。

 支援の要請がある災害の形も変わってきている。「もともと、7・13水害、中越地震を契機に、次の年にNPOを設立したわけで、災害、特に大きな災害と考えていましたが、ここまで多発してくると、大小関わらず、災害に関しては協定先からの要請に基づいてお送りしている状況です。それから、鳥インフル エンザや口蹄(こうてい)疫といった家畜伝染病に関しても広い意味で災害ととらえて対応してきました」。近年では、3年前の糸魚川市大規模火災はもちろんだが、火災での支援の要請もあるという。

 こうした支援のベースとなるのが、全国の自治体と結んでいる災害時の物資の提供に関する協定。昨年12月12日に静岡県吉田町と協定を結んだことで、現在は、全国で唯一、コメリグループの店舗が出店していない沖縄県を除く46都道府県、840自治体と協定を結んでいる。「店舗があるところを中心に、これからもお話しさせて頂いていきたいと思っています」と、今後も協定の締結を進めていく。

 災害時の支援物資の提供のほかに、近年は、年間で50回、60回と防災啓発活動、防災訓練などにも参加している。「災害が起きた時の受援力、いかにスムーズに、有効な要請を叫べるかという力のことですが、それを自治体などに話をしながら、受援力を高めることに力を入れている団体もあります。そういうところでもお手伝いできるんじゃないかと、防災啓発活動にも力を入れていきたいと思っています」。

 今後の取り組みとして見据えているのが、物資の集積所から各避難所までの「ラストワンマイル」。古澤常務理事は「流通センターでは、各店に仕分けして配送する機能があります。それを利用して、集積所ではなく、避難所に仕分けしたものを届けるということができないかということに取り組んでいます。西日本豪雨でも、仕分けしたものを集積所までは送っているので、後は、それを避難所に直接送ることができれば『ラストワンマイル』の課題は解決できます。決して無理な話ではないと思っていますし、これはコメリにしかできないことだと思っています」と話し、他のNPO法人などとの連携も強化しながら「より被災地のニーズに応え、1分、1秒でも早くお届けできる体制を整えたい」とする。                                             (石山)


 2019年1月4日冬季特集号掲載