燕ならではの暮らし求めて
福田さん、古民家改修し友人と
 新潟県燕市のサンロード宮町商店街に、20代、30代の若者がにぎわいをもたらしている。燕市の企業への就職をきっかけに福田恭子さんは商店街近くの古民家を買い取り友人とシェアしながら生活を始めた。「当たり前になり過ぎて、この町にいる誇りだったり楽しさだったりを感じなくなってしまっているかもしれないですけど、町を楽しんでいる人を見るとか、一緒に話して価値観が変わってくると、もっと町が好きになってくれるかもしれない」と住民が地元を見直すきっかけを作りたいと話す。

 福田さんは1992年8月生まれ、新潟市出身で、2017年4月に燕市東太田、鰍lGNETへの入社を機に燕市で生活を始め、「アパートは嫌、東京と同じなので。ここでしかできない暮らしがしたかった」と、昨年11月から築70年の古民家を改修して、燕市中央通二、葛ハ川堂に勤める白鳥みのりさんとシェアハウスで生活を始めた。

 大学生時代、学生向けの「起業家精神育成イベント」を主催し、その時にゲストとして呼んだのがMGNETの武田修美社長、その縁で同社に入社した。それまでは、新潟市出身といっても「燕三条駅にも降りたこともなかったですし、新潟から東京に行く時の通過駅という感じでした。ここに来て、初めてこういう町があるんだ、こういう産業があるんだと知りました」という程度。それが、「いつも飲んで、飲んで」と商店街に通ううちに燕市、宮町商店街へとどんどんと引かれていった。

 宮町商店街の魅力について福田さんは、「知らない若者が家を買って住んでいるという状況に対して受け入れてくださる方が多いなという印象です。『若い奴が頑張っているなら、おれらの孫みたいなもの』と言ってくれたり、周りの人たちも若い人が暮らしている状況を『うれしいね、若い人に頑張ってほしいしね』と、ゴミの出し方を教えてくれたり、『お前はおれの親戚だからいつでも来いよ』とか。2、3回会っただけなのにものすごい優しくて。外の人を受け入れる土壌というか、気質があるように感じています」と、商店街の人々の懐の深さに感激し、ますます引かれている。

 MGNETでは、まちづくり事業に携わり、工場の祭典の事務局も務めた。その際に、沼田さんらとも知り合った。燕で働き、住み、人の縁も広がる中で、「見るもの、聞くものが今でも新鮮です。大きい工場も、小さい工場もおじゃますることが多いんですが、当たり前に使っている道具とか部屋とか、博物館かと思うくらいに面白いものが多くて、そういうものをうまく発信できたらいいなと。日常生活に価値がある町だと思います。最初の段階でも面白いなと思ったんですが、入れば入るほど奥底しれず魅了されています」、「すべてがつながりがないようでつながっているのが面白い。企業と企業もそうですが、産業でも歴史があったり、地域としての運営体制であったり、個々ではなく、地域で戦っている、動いている感じが他にはない団結力に感じて、ここにしかないものと感じています」と、どんどんと引き込まれている。そうした福田さんが感じる魅力を発信する1つの手段として、MGNETとは別に、燕三条エフエム放送ラヂオは〜とで、毎週水曜日午後2時30分から45分まで放送している「まちの作り手編集部」のパーソナリティも務めている。

 「好きな人たちとずっとこの町で暮らせたら」と話す福田さん。「人間として好きな人がたくさんいて、その人たちとずっと楽しく暮らせたらすごい幸せだなと。そうして楽しく幸せに暮らしている人たちがいる町というだけで、おもしろそうと来てくれたり、一緒に働きたいと思ったりしてくれる人がいると思うので、そういう形で生きていけたらいいな」。


 2019年1月4日冬季特集号掲載