下田自生のツルでリース作り
コクワにアケビ、種類様々
三条市・工房たま、内山珠美さん
 新潟県三条市在住のリース作家・内山珠美さんは、このほど「工房たま」を立ち上げ、昨年11月23日から12月4日まで、内山さんの父である関勝徳さんが館長を務める三条市馬場、下田の森の美術館で初の個展を開いた。12月8日にはかつて務めていた燕市東太田、鰍lGNET(武田修美社長)のオープンファクトリー型新施設「FACTORY FRONT」でワークショップも開いた。

 内山さんが手がけるリースの材料は「ツル」。下田の野山に自生する植物のツルを使い、作るリースはそれぞれ加工時の微妙なゆがみを生かすため個性的。個展に足を運んだ人から作り方を聞かれるほどの人気ぶりとなっている。

 今回、ツルを使ったリース作りの魅力と、そのきっかけについて話を聞いた。                   (細山)

 内山さんがツルのリース作りと出会ったのは、6年ほど前で、父である関さんが同美術館の館長となり、施設運営の人手が足りずに、仕事の合間に手伝うようになったころ。たまたま関東で活躍する作家からリース作りについて教えてもらったことがきっかけで始めた。「自分でもできるかもしれないと思って、やり始めたんです」と話す。

 以来、フルタイムの仕事をこなしながら、美術館を手伝い、美術館が冬期休業の期間中にリース作りに精を出す。とはいえ、リースの製作は1年がかり。夏の間は熱湯で整形したツルを乾燥させ、冬に花などを組み合わせて仕上げた後、翌年の夏のためにツルを成形していく。そのため、年間に作れる数は多くても40点ほど。

 リースに使うツルはすべて下田産。フジやアケビ、コクワなどの自生植物だけでなく外来種も使う。内山さんのリース作りは、里山の保全、資源の再利用でもある。「リースは売っているものも、ツルでできているわけです。形もいろいろあって面白いものだと思いました。それに山の手入れをする人たちにとっては、木を弱らせるものなんです。だから、山に入って取る方に『それを利用させてください』と声をかけさせていただき集めたり、それに美術館にもコクワのツルがあって、それが他の木をダメにすることもあったりで、そうしたものを加工させていただいています」。

 そして、1つ1つ、ツルの巻き方で微妙に形の異なるリースに合わせて、仕入れてきた花や飾りをつけていく。

 「一昨年の最初のころにお客さんから『せっかくだからリース展をやってみたらどう?』と言われて、、初めてやってみたんです」と内山さん。同美術館での初めての試みは結果的に成功し、最終日には用意したリースもほとんど残っていなかった。

 そのあとには、古巣でもあり、今でもプライベートで親交のあるMGNETでのワークショップにもつながった。内山さんの作るリースは、クリスマスや年末年始のイベントに引っ張りだこだ。「今後も続けて行きたいです」と話す。リース展でも、「ツルの加工から教えてほしい」、「家にツルはあるけれど、どうやって加工していいか分からない」という声もあった。そのため、今後もワークショップなどを通じて、多くのファンを広げていきたい考え。

 ツルの魅力について、内山さんは改めて「形や巻き具合が好きなんです」と話す。同じように巻けるものは1つとしてなく、また、植物の種類によって樹皮の色、質感や太さもまったく異なる。そのため、出来上がりの印象も大きく変わっている。「コクワの赤茶色いツルはすごく面白いですし、加工のしやすさもかなり変わってくるんですよ。その違いも楽しいところです。中には、とても加工しにくいものもあります」と話す。

 今後は、創作だけでなく作る楽しみを伝えることにも力を入れていきたいと話す内山さん。「将来的には、自分の家で飾るものは自分で作るようになったら楽しいと思うんです。昔は、どこの家庭でも正月飾りは自分たちで作ったんだと思うんです。今は買ってきたものを飾ることが多いですよね。だから、少しでもクリスマスのリースや正月飾りを作るきっかけになれば、と思っています」と話す。

 2019年については、三条市善久寺を拠点に、間伐材を使った手作りのはしづくりに取り組むクラフト作家の高島かよ子さんとのコラボ展も考えている。人と森をつなぐ「かけはし」を作ることに取り組む高島さんとは、同じ里山の素材を使ったクラフト作りという点で意気投合。「ぜひ、今回のリース展と同じ時期にやれたらと思っています。箸づくりやリース作りの講習会も一緒にやってそこで、たくさんの人に知ってもらえたら」と話している。

 作品の魅力だけでなく創作の楽しさ、加えて、里山の自然にも触れられる内山さんの作品。今後、県央地域でも見る機会が増えてくるかもしれない。


 2019年1月4日冬季特集号掲載